追っかけマップ

haketa

 

はじめに


「まさかあの役人が、あの政治家が、あの企業がそんな悪いことをするとは信じられない。もう二度とそんな酷いことをしないでしょう」この言葉を取材中何回聞いたことだろう。
ところが厚生省の薬害だけでも、スモン、サリドマイド、クロロキン、水銀の水俣病、漢方の小柴胡湯、薬害エイズと途切れることなく起きている。
この一年間の取材中にも、人間の狂牛病といわれるクロイツフェルト・ヤコブ病、点滴用の高カロリー輸液、抗ガン剤塩酸イリノテカン等の事故で数年前からわかっていたにもかかわらず厚生省が放置していたため、数百人が死亡したことがわかっている。
福祉関係でも全国有料老人ホ l ム協会、大阪の安田系病院、橋本龍太郎、小泉純一郎への公益団体からの違法な政治献金、その公益団体の税金逃れ等、これでもか、これでもかと続く。どうして防ぐことができないのであろうか。
取材していて気がついたのは、「他の人もやっているから」そしていちばんの原因は、「見つかっても無視すれば世間はいつか忘れてしまう」ということであった。
橋本龍太郎、中曽根康弘、小沢一郎、亀井静香等の政治家が、あの厚生省が、延々と悪を続けられるのは「放っておけばそのうち国民は忘れるし、諦める」と思っているからである。それはそうであろう。これだけ毎日悪事が見つかれば、国民もいちいち文句を言う暇さえなくなってくる。
国民が諦めないためにも忘れないためにも、情報開示と記録保存こそが悪を追放し、悪を許さない世界を生みだす。悪いことをしていなければ、なにを知られでも怖くないはずである。どれだけ所得があろうが、正当に稼いだお金であれば誰も文句は言わない。悪いことをして手に入れたお金であるから隠すわけである。都合の悪いことであれば言わなければいいし、しなければいいわけである。悪いことをしておいて、プライバシーの侵害と言っても仕方がない。とにかくプライバシーでもいいことは誉めてくれるし、悪いことであればけなす。それが世の中である。悪は誰も許さない。
人はなぜ罪を繰り返して犯すのであろうか。それは犯した罪に対してふさわしい罰が下されていないからで、ヤッタ者勝ちであるからだ。それを防ぐには、情報開示と記録保存、そして動物にはない、恥の恐さを思い知らすことがいちばんである。
「罪を恐れぬヤカラたちよ、恥の恐さを思い知れ」しかもひとつの悪事には数え切れない人たちがからんでいる。みな「上が命令したから。他の人もやっているから」と言い逃れする。それが許されるのであろうか。この著がその歯止めになることを祈ります。尚、個人の役職・出身学校・生年月日・自宅住所・自宅 TEL の空白につきましては、情報提供をお待ちしています。

おわりに


原発反対の先頭に立ち、原発関係者から目の敵にされながらも、必死に戦い続けている広瀬隆は著書『腐蝕の連鎖』 ( 集英社刊 ) では「水俣病で全身がしびれ、やがて狂い死にした父親の遺体を墓から掘り起こし、熊本大学に解剖を頼み、チッソの水銀との因果関係をつきとめ、自身も水俣病に犯されながら、チッソや政府と戦い続けた川本輝夫について書いている。彼は、六ヵ所村の問題が起きてきた十一年前に私にこう言った。
『青森の人に伝えて下さい。あんたたちはお人好しだ、と。しかし、お人好しには二種類あって、ひとつは生菩薩のように純粋な人だが、もうひとつは馬鹿だ。それは、差別され、馬鹿にされる人間だ。チッソを見れば分かるが、あの社会の中堅以上は全部ヨソ者で、この土地から甘い汁を吸うだけ吸って、儲けた金は外へ使ってきた。青森でも、一方的な受難史がこれから始まるでしょう。放射能と被害の因果関係は、水銀以上に証明が難しいですからね』そして水俣病のためもだえ苦しみながらの死を遂げ、脳が水銀に冒されスポンジのようになった両親のような被害者を二度と出してはいけないと、原発に反対する私たちを励ましながら車椅子で走りまわった浜元二徳も私にこう言った。
『青森の人に伝えて下さい。俺たちのように被害者になってから気づいたのでは遅い。信じていた国や県から生殺しにされてしまう。金ですべてを解決しようとしたのが間違いのもとだった。最初は動物がやられ、それが必ず人聞にくるのです。誰もが、この時代にそんなことがあるもんか、と言ったし、過去は過去だと言って他人に耳を貸さなかった。それが無念でならない。自分が生きて行こうとするなら、絶対に他の人間に支配されては駄目だ』
また、髪の毛一本ずつが痛む激痛とシビレで床に這い、繰り返し病院に運ばれるほど水俣病に酷く犯されながら戦い続ける杉本栄子は、『自分のことは自分でやる。それが人間だわ、家族のために調べるのよ。知恵も必要だし、最後には怒ることも大切よ。川本さんに、みんな救われたの。あの人が怒って、立ち上がって ::: 。そして人聞は、待つことができなければだめ。待つ大切さね。正しいことを貫いてる限り、生きられるわ。私は祈り続けました。体が動かなかったので、嘘をつく人間の眼をじっと見て』」と書いている。
さらに、『ミドリ十字と七一三部隊』 ( 一三書房刊 ) には「第二次世界大戦で細菌研究のため数えきれない中国人を生体実験で生殺しにした石井四郎七二二部隊長が中国から撤退直前に数千人の隊員の前で『七三一部隊の秘密はどこまでも守り通してもらいたい。もし軍隊機密を漏らした者がいれば、この石井がどこまでもしゃべった人聞を追い駆けるぞ』」と演説したとある。
その部隊の生き残りがミドリ十字の創設者で、非加熱製剤がアメリカで HIV の恐れがあると騒がれていることを知りながら販売し続け、被害者を拡大させた内藤良一である。
別に、石井四郎が無理に口止めをしなくても誰も喋らなかったであろう。数千人の七二二部隊の隊員、そして数百万人、数千万人を殺害した第二次世界大戦に参加した兵隊のほとんどが真実を喋っていない。
お釈迦様がどんなに素晴らしいことを言っても、金に目が舷んだ僧侶や牧師がすることは決まっている。
人聞は、罪や罰だけでは押さえきれない。現代の人類が考えているようにそんなにも、人間の心は進化していない。一回、二回ぐらい、悪人に注意しても、そんなに簡単に反省しない。それほど人間は賢くない。
悪人は永久に監視され続けない限り、永遠に悪を続ける。この『厚生省おっかけマップ』がその役割を少しでも担えれば幸いです。
最後に、数え切れないほどの書物と、新聞、雑誌を参考にさせて頂き感謝いたします。尚、引用元を全部、書き切れなかったことを深くお詫び致します。
尚、『厚生省おっかけマップ』に続き、「動燃おっかけマップ』、『大蔵省おっかけマップ』、『運輸省おっかけマップ』、『農水省おっかけマップ』、『建設省おっかけマップ』、『郵政省おっかけマップ』などの刊行を予定しております。情報を頂ければ幸いです。